ゆっくり生きよう・にっこり走ろう

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ジョン・ウッド氏を迎えて、シンポジウム開催

ボランティア活動について考える、シンポジウム開催!

「日本人は寄付をしない」「日本ではボランティア活動が根付かない」といったイメージを抱いている人は少なくないようです。国外からの印象という以上に、日本人である私たち自身がそんな風に思いこんでいるのかもしれません。でも実際はどうでしょう?たとえば、3月11日の東日本大震災のあと、日本の8割近い人が何らかの形で寄付をしたというデータがあります。若い人たちがボランティアに出向く傾向も、根強く続いています。日本全体が大きな困難に立ち向かっている今、多くの人が「何かしたい。しなくてはならない」との思いを強くしているのです。

国や自治体に頼ったり、不平や非難ばかりを口にするのではなく、自らが参画して社会を変え、より多くの想いをつなげ、たくさんの笑顔を広げていこう。そんな情熱を持って日々活動している非営利団体は多数存在します。FIATはそうした団体とのコラボレーションを通じて「Share with FIAT」をテーマとする社会貢献活動を続けています。今回のシンポジウムでは、FIATがパートナーを組む各団体が一堂に会し、ボランティア活動についてさまざまな視点から考えました。

シンポジウムに先立ちイタリア文化会館館長 ウンベルト・ドナーティ氏、駐日イタリア大使 ヴィンチェンツォ・ペトローネ氏から、日本語でごあいさつをいただきました。

在日イタリア商工会議所会頭 フランチェスコ・フォルミコーニ氏からは、ボランティア大国 イタリアの状況が紹介されました。イタリアでは人口の10%がボランティア活動をし、21,021もの団体が登録されていますが、実際には「助け合い」は当然のことであり、数字として出ないものも含めれば、さらに多くの活動がなされているといいます。

この日、基調講演を務めたのは「マイクロソフトでは出会えなかった天職」が日本でもベストセラーになっているジョン・ウッド氏。彼が設立した「Room to Read」は、アジア、アフリカの開発途上国において、現地のNGOや村の人々などと協力して学校や図書館などを建設したり、現地語や英語の本を寄贈したり、少女が学校に通うための奨学金を用意するなど、さまざまな方法で教育の機会を提供しています。

Room to Readの活動は、たった1人の男が、1頭のヤクに3千冊の本を積み、本が1冊もなかった小学校の図書室をいっぱいにしたことから始まりました。その活動がやがて世界に広がっていったのです。

ジョン・ウッド氏に学ぶ、4つの教訓!

今回の講演でジョン・ウッド氏は、自らの体験を通じて学んだ「社会を変えるために大切な4つの教訓」を語りました。ソーシャルビジネスに関わっている人、ボランティア活動に携わっている人はもちろん、すべての人にお伝えしたい有意義な内容です。

1つめの教訓は、アクションを起こすこと。「世界中に、話ばかりで行動しない人が多すぎます。ベラベラと口先だけなら誰にでもできますが、行動するのはもっと難しい」そう語った彼は、Room to Readの具体的なアクションの一例として、スマトラ沖地震直後の活動を挙げます。「人手も資金もない状況でした。でも、子どもたちは現に困難に直面している。お金がない、人が足りないなどと話し合っている場合か?アクションを起こそう!そうして、1年で39の学校を建設し、2年目にはスリランカ全土で80校を建設、125の図書館をオープンさせました。現地の人々と協力して一緒に行動し、このような変化をもたらせたのです。話だけしていても、何も変わらなかったはずです。

「活動を続けていく最大のご褒美は、子どもの笑顔」と彼は言います。
悲惨な災害で家族を失った子どもたちでさえ、学校に通い、本を読めることで、こんなにすばらしい笑顔を見せてくれるのです。
「過去は変えられないが、今と未来は変えられます。ただ励ますより、行動することに集中する。これが、教訓1です」

2つめの教訓は、現地のコミュニティにオーナーシップを持ってもらうこと。「やってもらう」という他力本願ではなく、セルフヘルプ(自助努力)で主体的に関わってもらうことが重要です。Room to Readでも、学校を「建ててあげる」のではなく、ともに活動し、一緒にソリューションを見いだしているといいます。「私はチャリティという言葉が好きではありません。上からの目線で誰かが誰かにほどこす感じがして。私たちの活動を英語で言うなら、co-investment、つまり、互いに投資しあうかのような、対等な関係です。一緒に努力し、ともに目的を果たすのです」

3つめは、ゆるぎない情熱を持って資金を調達すること。「No money = No missionです。資金がなければ何もできません。資金調達は恥ずかしいことだと思う人がいるかもしれませんが、それは間違っています。誇りと熱意を持って、堂々と資金を集めましょう。資金がなければ目標は達成できないのですから」

「もっとたくさんの学校や図書館を作りたい」という信念のもと、Room to Readは今や、世界中の57の都市にチャプターを置き、グローバルなネットワークを広げています。昨年は、世界中で10億円もの資金を、各チャプターのボランティアたちの尽力で集めることができたといいます。「その57のチャプターのうち、東京はトップ5に入っています。2007年に東京チャプターを立ち上げようとしたとき、多くの専門家が「日本ではムリだ」といい、その理由を延々と述べました。でも、実際はどうでしょう?トップ5ですよ!」語るばかりで行動を起こさない専門家の意見は見事にはずれた、というわけです。

FIATでも「LIBRARY CLUBみんなで図書室を贈ろう」という活動をサポートしています。あなたが寄付した金額と同じ金額をFIATも寄付し、寄付額を倍にするというシステムです。みなさんからの寄付で、6つの都市に図書室を作ります!

4つめの教訓は、小さくまとまらず大きな社会変化について語ろう、ということ。
「ちまちま考えず、bigなゴールを持つのです」とジョン・ウッド氏はいい、Room to Readが今現在、刻々と達成しているビッグな事柄を挙げました。「26時間ごとに1校、新しい学校が生まれています。1日平均6つ、つまり4時間に1つの割合での新しいライブラリーができています。毎日13千人もの女の子が教育を受けるチャンスを得ています。

ジョン・ウッド氏の活動は、その経験談を聞くだけでも元気になれるほどすばらしいもの。ユーモアを交えながらにこやかに、そして力強く語られる彼の言葉は説得力に満ち、「自分でも行動を起こさなければ!」と背中を押されました。
11年前、1人の男が1頭のヤクに乗って3千冊の本を1つの図書室に届けた、それが今や、11千もの図書館・図書室にまで拡大し、それはさらに増えているのです。
「社会に変化をもたらしたい人は、どうかこの数字を忘れないでください。みなさんは、まだ小さな活動をしていると思っているかもしれませんが、小さいままとどまることはありません。忍耐強く、情熱を持って努力を続ければ、大きな変化をもたらすことができるのです」

基調講演に続き、Peace Winds Japan http://www.peace-winds.org/から、被災地支援の報告がありました。今後、すべての人の生活をいかにして立て直していくか。仮設住宅で暮らすにしても生活物資が必要だし、仮設はあくまでも「仮設」なのです。家や身内を失った子どもたちへの精神的ケアや仕事の再建など、問題は山積しています。「復興には本当に長い時間がかかると思っています。すべての人に仕事が見つかり、それが安定するまで、PWJにできることを模索しながら続けていきます」今回、PWJでの活動を通して、日本における民間のパワーをあらためて感じたそうです。個人も企業も、たくさんの人々が復興に力を貸したいと願っています。そのパワーを今後も衰えさせることなく、継続的かつ確実に、必要な支援を届けていかなくてはなりません。

被災地支援報告に続き、岩手県・大船渡商工会議所女性会のみなさんによる和太鼓演奏が披露されました。津波の被害で38台あった太鼓はすべて流失、瓦礫の中から9台を拾い上げましたが、使える状況ではありませんでした。それを、石川県の太鼓メーカーが無償で修理してくれ、またこうして演奏できるまでになったといいます。被災地に暮らす女性たちの力強い演奏は心を揺さぶり、気持ちを奮い立たせるものでした。1日も早い復興に向けて心をひとつにしなくては、とあらためて思います。

パネルディスカッションも行われました!

シンポジウムの最後は4人のパネリストによるパネルディスカッション。司会を務めた木全ミツ氏(女子教育奨励会理事長、元国連日本政府代表部公使、The Body Shop,Japan初代社長)をはじめ、松島由佳氏(CROSS FIELDS理事)、鵜尾雅隆氏(日本ファンドレイジング協会常務理事)、釜本美佐子氏(日本ブラインドサッカー協会理事長)、FIATのティツィアナ・アランプレセが、それぞれの立場から発言しました。鵜尾氏からは「私たちには、“〜してよかった”という成功体験が必要です。いい事例、成功した事例にひとつでも多くふれることで、「自分も何かやってみよう」という思いが生まれます。成功事例で日本の空気を変えていけます」という話があり、共感を呼んでいました。

Share with FIATの活動を通じて、FIATがパートナーシップを組んでいる5つの団体は、まさに社会の空気を変え得る活動を各地で続けています。そしてもちろん、それ以外にも多くの団体が今現在も地道に活動しているし、個人で寄付をしたり、ボランティアに参加したりする人も増えています。いずれも、初めの一歩は小さいものだったに違いありません。でも、熱い情熱と強い信念を持ち、本当に必要とされるアクションを起こし続けていれば、社会は変えることができるのです。各団体に属していない人たちにも、いえ、属していないからこそできる活動も多数存在するはずです。

自分以外の誰かのためになりたい。そう思ったら、思いや言葉だけでなく行動を起こすこと。どんなに小さな一歩でも、それはやがて大きな変化につながるのです。


閉会後のアフターパーティでは、TABLE FOR TWO監修のもと、ケータリング会社フェイバリットと、レコールバンタンの学生がそれぞれに開発したヘルシーでおいしいフィンガーフードが提供されました。費用の一部はTABLE FOR TWOを通じて、ルワンダバンダ村の学校給食600食分として寄付されます。30人の1ヶ月分に当たるそうです。
イベントの様子はUSTREAMにてご覧ください。