ゆっくり生きよう・にっこり走ろう

人にも環境にも自分にも優しくいきる。それがフィアットカルチャーです。

500が愛車という詩人の谷川俊太郎さんに、車への愛を語っていただきました!

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文=和田紀子 写真=加瀬健太郎

フィアット500のために書き下ろした詩

 500の10年目の誕生日を祝って、500のオーナーでもある谷川俊太郎さんから、なんとオリジナルの詩のプレゼントが! それが以下に掲載させていただいたもの。人間と同じように感情を持った500と家族との物語が目に浮かぶようで、本当に素敵ですね。そこで本日は、谷川さんと車のこと、あれこれもう少し伺いたくて、杉並にあるご自宅を訪問しました。

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谷川さんの車ヒストリー

 幼稚園の頃から車が好きで、自分の車を持つのが夢だったという谷川俊太郎さん。
 「一番最初に買った車がシトロエンの2CV。その後、モーリスのオックスフォードのワゴン、モーリス1100とイギリス車を乗り継いで、そろそろ気分を変えてイタリア車に乗ってみようかと購入したのが、フィアット1100でした。中古で、確か薄いブルーみたいな色だったかな。それが1960年代の東京オリンピック前後くらい」
——フィアットのどんなところが気に入ったのでしょうか?
 「全体にアルミっぽくて軽かったの。あとはキビキビした走りの感じがすごくよくて、それが僕の中でのイタリア車の印象になっているんです。なんだか温かくて人間味があって、イタリアの国の感じがイタリア車には出ていますよね」

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自分が所有した車のモデルカーは集めたくなるという谷川さん。手に持つのはイタリア発祥のミニカーブランド、ブラゴ製Punto。サイズも大きくお気に入り。

そして再びフィアットへ

 その後は「僕、浮気症だから」と国産車をはじめ、さまざまな車を乗り継いで、再びフィアットに戻ってきたのが90年代。
 「Puntoのカブリオレでした。当時はまだトップが電動で開くタイプが珍しかったんです。その後、もう2台Puntoに乗って、2台目はオートマティックのミッションがすごく良くて気に入っていたんですが、だんだん年を取ってくると、車は小さいほうが楽だっていうので、5~6年前に今の500に買い替えました。“ワカモレ”という名前で売り出された限定車で150台しかなくて。僕、アボカドが好きなもんだから、そういうのもあって、なんとなく買っちゃったんです」
——乗り心地はいかがですか?
 「オートマなんだけどシングルクラッチだから自分で操作している感じがあって、それがけっこう気持ちがいいのね。あとは水を冷やすファンが付いていないのかな? っていうくらい静かで、おとなしいのもすごく気に入っているところです」

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車って自由。だから新しい発見がある

 現在は、都内での移動はもっぱら地下鉄で、車に乗るのは、北軽井沢にある山の家に行くときくらいだそう。約160㎞の道のりを、休憩を一回挟んで約2時間かけて運転していきます。
——谷川さんにとっての車とは、そうした「目的地への移動」や「移動手段」以外に、どんな意味があるのでしょうか?
 「まず基本的には『個人の移動の自由』というのがありますね。鉄道やバスといった公共の交通手段は、他人といっしょくたで、時間も決まってしまっています。でも車なら、思い立ったらいつでもどこへでも出かけられる。しかも、韓国の釜山と九州の間にフェリーがあれば、ヨーロッパまで車で行けるかもしれない……。そして、車が走っていくというのは、風景をパーンしているわけです。スピードに合わせて、風景がどんどん切り変わっていくのがすごく気持ちがいい。それが僕の書く詩にも影響しているんじゃないかと思います。風景が流れていったり、突如として違う風景が現れたりする。そういう経験は歩いていてはできない、車ならではのものだと思いますね。そんなふうに流れていく風景の中で音楽を聴くと、部屋の中で座って音楽を聴くのとでは、まったく違ったものに聴こえます。音楽を聴く場所としての車というのが僕は好きなんですね。聴くのはもっぱらクラシック。カーステレオがなかった時代から、ポータブルのラジオをぶら下げて、運転しながら音楽を聴いていました」

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北軽井沢の山の家の近くにて。 photograph by Kotori Kawashima

——車の中を自分の部屋のようにカスタマイズしたりするのでしょうか?
 「そういう趣味は全然ないですね。ただ、以前アメリカに朗読旅行に行ったとき、僕の詩の翻訳者であるアメリカ人の車に乗せてもらったら、それがワーゲンのワゴンで、なんと掘り炬燵がついていたんです。そこでみんなで喋ったり、ご飯を食べたり。それはすごく楽しかったんだけど、僕にとって車というのは、できるだけシンプルで機能本位なものであってほしい。だからフィアットが好きなんです。スピードも正直どうでもよくて、デザインのほうに惹かれます。それも、メカとしてよりも、パッケージとしてのデザイン。そういう意味では、実は今、一番興味があるのが軽自動車なんです。ギリギリの空間をいかに有効活用するか、非常によく考えられている。ああいうミニマルな世界というのはすごく日本に合っていると思います」
——500の空間についてはどうですか?
 「ちょうどいいですね。若い頃は大荷物で移動することもあったけど、今はどんどん物を少なくしていきたい。断捨離です。なので、あのくらいで全然満足。今の自分の年齢と暮らしにすごくフィットしていると思います。年を取ると欲がなくなります。もういい車を欲しいとも思わない。今は死ぬまで500に乗ろうみたいな感じです。こちらから免許を返納するつもりは全然ありませんから(笑)」

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自宅車庫でドライバーの帰還を待つ愛車500。アボカド色が映える。

Shuntaro Tanikawa
1931年東京生まれ。詩人。1952年第1詩集『二十億光年の孤独』を刊行。1962年「月火水木金土日の歌」で第4回日本レコード大賞作詞賞、1975年『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1982年『日々の地図』で第34回読売文学賞、1993年『世間知ラズ』で第1回萩原朔太郎賞、2010年『トロムソコラージュ』で第1回鮎川信夫賞など、受賞・著書多数。「Punto」をはじめフィアット車を長く乗り継ぐ。現在の愛車はアボカドグリーンがさわやかな「500 ワカモレ」。

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