ゆっくり生きよう・にっこり走ろう

人にも環境にも自分にも優しくいきる。それがフィアットカルチャーです。

新たな刺激で自らのパワーを引き出す 77歳の大御所ジャズトランペッター、エンリコ・ラヴァ氏

77歳の大ベテランにしてなお、世界中を精力的に飛び回り、常にチャレンジを続けているイタリアのジャズトランペッター、エンリコ・ラヴァさん。昨年12月の来日時には東京・福岡・大阪で日本のミュージシャンと共演、観客を魅了しました。本番前のリハーサルで、ラヴァさんに音楽を通じたクロスカルチャーの醍醐味についてお聞きしました。

170112_FIAT_Rava_01

まずは気持ちを通わせることから

約50年にわたり、音楽ファンを魅了し、ジャズ界で存在感を発揮し続けてきたエンリコ・ラヴァさん。それも出身地のイタリアに踏みとどまることなく、世界中で活躍しています。12月には、約1年ぶりに日本を訪れました。

今回の来日コンサートのタイトルは“Enrico Rava meets Japanese Friends”。日本のジャズミュージシャン(=Friends)とともに自作曲を演奏。3都市で開催されたライブはいずれも満席で、会場を沸き立たせました。

“Japanese Friends”として共演したミュージシャンは、コントラバス奏者の松永誠剛さん、ピアニスト平林牧子さん、ドラマーの芳垣安洋さんの3名。ラヴァさんとは初セッションとなりますが、リハーサルスタジオには緊張した空気はなく、みなさんラヴァさんの登場を心待ちにしていた様子。

170112_FIAT_Rava_03s

スタジオでのリハーサルシーン。共演する日本人ミュージシャンは、右から芳垣安洋さん、松永誠剛さん、平林牧子さん。

ラヴァさんがスタジオに到着すると、いよいよリハーサルがスタート。初の顔合わせでどんな会話を交わすのか耳を傾けてみると、最初に軽く挨拶を交わした後に伝え合ったのは“その日の気分”。
互いの気持ちを通わせ理解しあうところから、セッションはスタートしているのです。

周りから受けた刺激を自分のエネルギーに

会ったばかりの、しかも異国のミュージシャンと共演するのは難しくないのでしょうか?
「ジャズというコミュニティはそれほど大きなものではないし、そもそも音楽で繋がっている。ヨーロッパでもアメリカでもブラジルでも日本でも、気持ちに違いはないよ」とラヴァさん。ジャズ、音楽という共通の言語は、出会ってからの時間も国境も越え、心を通わせるツールになっているのです。ラヴァさんは、さっそく新しい仲間との演奏を始めました。

170112_FIAT_Rava_04

マネージャーさんによれば、ラヴァさんと同世代のミュージシャンたちは、もうすでに引退されているとのこと。それでもラヴァさんは音楽への情熱を絶やしません。なにがその原動力となっているのでしょうか?
「若い世代のミュージシャンとコラボするのは、彼にとって大事なことのようですよ。若い人のパッションを感じ、自らも情熱を引き出していく。最近はそれが彼の音楽スタイルのひとつになっているようです」

170112_FIAT_Rava_05

世代を隔てた音楽仲間との共演を楽しみ、受けた刺激を自身の中に蓄えていく。そして次回の公演でアウトプットする。ラヴァさんの挑戦はまだまだ続きそうです。

周りから刺激を受けてそれを自分のエネルギーに変えていく。簡単なことようですが続けるのは大変で、そこにはタフな精神となにより音楽への深い愛があるのはいうまでもありません。演奏の合間にラヴァさんは、こうも話してくれました。

「最近は、ジャズに限らず、エレクトロニックミュージックとの共演も試みているんだ」。そう語るラヴァさんの目は実に生き生きと輝いています。

170112_FIAT_Rava_06

国を超え、音楽の枠を超えて、常に新しい刺激を追い求めるラヴァさん。豊かなキャリアから磨かれ、奏でられるトランペットの音色はじつに多彩で、聴いている人に愉悦を与えてくれます。

共演者もみな、リラックスした様子で演奏。リハーサル段階からピタリと息が合うのは、音楽への情熱が織りなすグルーヴなのでしょうか。リハーサルセッションは技術を合わせるというより、心と心をつなぎ合わせていく。そんな共同作業のようにも見えました。

新たな刺激を自らのパワーにかえてしまうラヴァさん。その円熟した音楽は聴く人の心を揺さぶり、豊かな気持ちにさせてくれました。盛況のうちに終えた年末のコンサートを通じて、多くの方がラヴァさんのパワーを感じとられたことと思います。

2016年はエンリコ・ラヴァさんのコンサート支援で幕を閉じたフィアットのクロスカルチャー活動ですが、2017年も日本のカルチャーと“Cuore(クォーレ:心)”を通わせる活動を続けてまいります。ご期待ください。

170112_FIAT_Rava_02

*エンリコ・ラヴァ氏略歴
エンリコ・ラヴァ氏。1960年代からジャズトランペッターとして活躍。ヨーロッパのジャズシーンを代表する一人。ヨーロッパ各国をはじめ、アメリカ、カナダ、日本、ブラジルなどでツアーを実施。フランス芸術文化勲章(シュヴァリエ)受賞。アルバムは、『Tribe(2011)』『New York Days(2009)』『Wild Dance(2015)』など多数。2015年にはアルバム『Wild Dance』をリリース。


取材・文 朝倉奈緒
撮影 大沼寛行