ゆっくり生きよう・にっこり走ろう

人にも環境にも自分にも優しくいきる。それがフィアットカルチャーです。

日伊国交樹立150周年に二国の芸術がクロスオーバー! イタリアの演出家&役者が語る『ジャパン オルフェオ』

日伊国交樹立150周年を記念して行われ、音楽界で大きな話題を呼んだ『ジャパン オルフェオ』。イタリアから参加した方々は、日伊の芸術がクロスオーバーしたこの舞台にどのような想いで挑んだのでしょうか。演出家と役者の方々にお話をうかがいました。

161028_Fiat_01s

『ジャパン オルフェオ』が10月7日と8日に開催された鎌倉・鶴岡八幡宮の特設会場。

日本のイタリアの文化をつなぐ歌劇『ジャパン オルフェオ』が、10月7日と8日に鎌倉の鶴岡八幡宮で、10月12日と13日には東京芸術劇場で開催されました。オペラの名作、モンテヴェルディの「オルフェオ」と、日本のお能、日本舞踊、雅楽が融合した日伊共同の作品とあって、従来の芸能ファンはもちろん、これまで伝統音楽や芸術に関心を示さなかった人からも注目を集めました。12日夜には皇后さまが東京芸術劇場にて、日伊友好のひとつの象徴となった今回の舞台をご観劇された模様です。

161028_Fiat_02s

フィアットでは、二国の伝統芸能の粋がクロスオーバーしたこの催しをサポートし、鎌倉公演では会場となった鶴岡八幡宮内に「FIAT CAFFÉ」をオープン。本場イタリアのKIMBOの豆で淹れたエスプレッソを提供しました。

鶴岡八幡宮内に登場した「FIAT CAFFÉ」。イタリアのDNAを引き継いだエクステリアやインテリアデザインを特徴としたイタリアン クロスオーバー「500X」は、会場を訪れた方々の注目を集めていました。

さて、今回の舞台における最大の関心は、日伊の芸術がクロスオーバーした『ジャパン オルフェオ』がどのような作品に仕上がっていたのか、という点でしょう。イタリアと日本の伝統芸能は、曲調やリズム、スピード感などあらゆるものが異なります。しかし、『ジャパン オルフェオ』は、演出家のステファノ・ヴィツィオーリさんが構想から実現までに2年以上を費やしたというだけあり、完成度の高い作品に仕上がっていました。音楽については、洋楽から邦楽に瞬時に切り替わったり、徐々に切り替わったりする場面で、日伊の演奏家のピタリと息の合ったコンビネーションが見られました。

161028_Fiat_04ab

日伊合同練習で迫真の演技を見せるヴィットーリオ・プラートさん(左)とリハーサル中のジェンマ・ベルタニョッリさん。

また踊りについても、それぞれの芸能の役者さんが魅力的な舞を披露。ジャンルの異なるアーティストが登場する作品ゆえ、それぞれの出番は限られますが、その中にも日伊の“融合感”に加え、各芸能の持つ奥深さやダイナミズムが感じられる。そんな印象を受けました。

今回なんと、『ジャパン オルフェオ』の公演のために来日したイタリアの演出家や役者の方々にお話をうかがう機会に恵まれました。イタリアのアーティストの方々はどのような意気込みで舞台に挑まれたのでしょうか。

『ジャパン オルフェオ』演出家 ステファノ・ヴィツィオーリさん

161028_Fiat_05s

リハーサルで出演者の指導をするステファノ・ヴィツィオーリさん。

これまでに90以上のオペラ公演を手掛けてきた気鋭の演出家ヴィツィオーリさん。演出家としての立場から、今回の作品のもっとも挑戦的だった点についてうかがいました。

「作品を作るときは、まずその芸術について理解を深める必要があります。ですからまず調査に長い時間を費やしました。『ジャパン・オルフェオ』の演出構想のために、数年前に来日し、三村京子氏(特定非営利活動法人 友情の架け橋音楽国際親善協会 理事長)の案内で、日本のさまざまな伝統芸能について学びました。能や日本舞踊だけでなく、歌舞伎や舞踏についても研究しました。そうして学んだものから作品のイメージを作り上げていくのです。その過程で、古事記の『イザナギイザナミ』とバロックオペラの『オルフェオ』のストーリーの接点を見つけ、これを題材とすることを決めたのです」

161028_Fiat_06s

インタビューに応じてくれたヴィツィオーリさん(右)。日本舞踊の藤間勘十郎さん(左)、花柳凛さん(中央)とともに撮影。

「もうひとつ挑戦的だったのは、それぞれのアートを尊重しながら融合を図ることでした。わたしは異なるアートが交差する作品を作るとき、それぞれの個性を尊重することが必須だと考えているのですが、性質の異なるものをまとめてひとつの作品に仕上げるには、実際に組み合わせないと見えてこないものがあります。片方の持つ個性をもう片方に染めてしまう、という手法はとりたくありませんから。あくまでもそれぞれの個性を生かしながら交差させるのです。結果は、うまくいきました。アーティストの立場からみても今回の『ジャパン オルフェオ』は、いい作品に仕上がったと思います」

“オルフェオ”役 ヴィットーリオ・プラートさん

161028_Fiat_07s

オルフェオ役を演じたヴィットーリオ・プラートさん。

演技力、声量、ルックスのどれを取っても申し分のない、イタリアで人気のバリトン歌手プラートさん。日本の伝統芸能とのコラボレーションに戸惑いはなかったのでしょうか。

「この作品の舞台に立てたことをとても光栄に思います。日本のチームと合同で行ったリハーサルもうまくいきました。今回のコラボレーションは、私自身、日本の由緒ある家元やアーティストの方々とご一緒できて感激していますし、観客の皆さまにも楽しんでいただけるものに仕上がったと思います。来日は今回が初めてでしたが、多くの発見がありました。アートについていえば、日本の伝統芸能はダイレクトに心に響くという印象を受けました。モンテヴェルディの音楽は、ときにゆったりとした曲調で神秘的な雰囲気を醸し出しますが、これは日本の伝統芸能にも共通すると思います。また、いずれの音楽も形式だけにとらわれることなく、シーンに応じて即興的に変化する奥深さがあります。その意味でも、『ジャパン オルフェオ』は、背景の異なる芸術が調和した、すばらしい作品だと思います」

“音楽”“と希望”を演じた ジェンマ・ベルタニョッリさん

161028_Fiat_08s

ジェンマ・ベルタニョッリさん。

“音楽”と“希望”という2つの役を演じたソプラノ歌手のジェンマ・ベルタニョッリさん。人が生きる上で元気の源とするものを、見事な歌唱力で表現してくれました。ベルタニョッリさんに、今回のコラボレーションに対する印象をうかがいました。

「この物語は、生と死の世界に対する人々の考え方やイメージが、異なる地で生まれた人々の間でも共通する、ということを示すものだと思います。すべての人間は違う道を通っても、結局は同じ方向に進むということなのでしょうね。この作品を実演するにあたり我々イタリアチームは、日本チームと別々に練習を積み、本番前に合同練習を行いました。そこで感じたことは、異なる“味”を持つものが融合する時に、また新たな“味”と“経験”が生まれるということです、これは素敵なことです。もしモンテヴェルディが生きていたなら、きっとこの作品を気に入ってもらえたのではないでしょうか」

日伊のアーティストが力を合わせ、ひとつの感動の舞台を作り上げた『ジャパン オルフェオ』。その模様は2016年11月28日(日曜深夜)0:00からNHK BSプレミアムにて放送される予定。作品を観られなかった人も、もう一度観たい人も要チェックです。

「ジャパン オルフェオ」公式サイト