ゆっくり生きよう・にっこり走ろう

人にも環境にも自分にも優しくいきる。それがフィアットカルチャーです。

雪道で実力を試します。FIAT 500でスノードライブ!

四季を持つ日本とイタリア

クルマの性能や持ち味は、そのクルマが生まれ育った風土や環境で大きく変わると言われています。イタリアの国民車であるFIAT 500(チンクエチェント)は、彼の地の道路状況や環境にあった性能を身につけているというわけです。でも不思議とこのクルマは私たちが住む日本にもよく馴染み、親しみやすさを感じます。

イタリアと日本。このふたつの国で似ているもののひとつが気候。イタリアは日本と同様に南北に細長く、また、一年を通してローマと東京の平均気温はほぼ同じ。植物の息吹を感じる春、灼熱の太陽のもとでバカンスを楽しむ夏、実りと味覚を謳歌する秋、寒く、地域によって降雪する冬。春から秋にかけての降水量は日本の方が多いようですが、四季折々の風情があるところは共通しているのです。


そんなイタリア生まれのFIAT 500が、雪降る日本の冬に馴染まないわけがない!? ということで、このクルマの雪道性能を探るため長野県と山梨県をまたぐ高原、八ヶ岳までドライブに出掛けました。

目の前に広がる富士山の大パノラマ。イタリアの景色もステキですが、日本の美しい山並みとFIAT 500の相性もなかなかのもの。

雪道でも軽快

標高が高くなるにつれて気温は低下し、外気温度計の表示は2度に。メーター内のディスプレイには路面の凍結注意を呼びかける「Possible ice on road」の文字が点灯。ぱらぱらと雪がちらつき、周囲はあっという間に白銀の世界へと変わっていきます。

中央高速道を降りて一般道で清里・八ヶ岳方面へ。標高が上がるにつれ、周囲が雪景色に変わっていきます。

私にとって雪道走行は1年ぶり。路面コンディションのいい環境にすっかり慣れきってしまっていたので、いつタイヤが滑り始めるか……とつい身構えてしまいます。もちろんスタッドレスタイヤを装着してきたので、クルマの準備はOK。あとは、ドライバーの気持ちを雪道モードに切り替えるだけです。滑りやすい路面の感触を確かめながらアクセルとブレーキペダル、ハンドル操作をいつにも増して丁寧に扱うように心掛けていきます。

雪道に馴染みイメージ通りに走れる手応えが掴めてくると、FIAT 500ならではの運転のしやすさは雪上でも同じだと気づきます。たとえば除雪された雪が道端に積もった道路を走るとき。コンパクトなFIAT 500は車両感覚が掴みやすく、狭い道もスイスイ走れます。雪壁の圧迫感もプレッシャーも少ないのです。

雪道では除雪した雪で道路が狭くなっていることも。コンパクトなFIAT 500ならすれ違いも楽にできます。

また持ち前の駆け出しの軽快さは雪道でも健在で、サッと出られるフットワークの良さが光ります。

電子デバイスが不安を払拭

滑りやすい路面の上を安心して走れるのは、進化が著しいスタッドレスタイヤによるところも大きいですが、もうひとつ安心材料となるのは車両の電子制御デバイスです。

たとえば加速する時。雪が溶けかけた路面や凍結路でタイヤが空転するとクルマの挙動が乱れて不安になりがちです。そんなときもFIAT 500にはASR(駆動輪空転防止機能)が標準装備されているので、ホイールの空転が抑えられます。交差点ですぐそばに他のクルマがいる場面や料金所からの発進時もスムーズに加速できます。

小さなクルマだからといって雪道でふらつくようなことはなく、安定した姿勢で走行するFIAT 500。車体のしっかり感がクルマを思い通りに操れそうな自信を与えてくれます。

もうひとつ、雪道で怖いのがブレーキング。下り坂や前走車がいるときは、ここでもしタイヤが滑ってブレーキが効かなかったら……と想像するだけで怖いものです。そんな時に活躍するのがABS。緻密にブレーキの制動力をコントロールし、タイヤのロックを防ぎながらハンドル操作で舵が切れるだけのグリップ力を確保してくれます。

実際、雪道でブレーキを強めに踏んだ時も、グィー、グィーという機械の作動音を伝えながらクルマの動きをタイヤのグリップ範囲内に留めてくれます。自分の想定内で停止できることが雪道走行では大きな安心感につながるのです。ほかにもESC(横滑り防止装置)やEBD(電子制御式制動力配分機構)も備わっていますが、これらのデバイスは全般的に作動感がおだやかで、ドライバーを不安にさせることなくさり気なくサポートしてくれました。

雪だまりから脱出

森の中へやってきた時、空気がピンと張り詰めた木々の間に何か気配を感じました。振り向いてみると、野生の親子鹿を発見! 彼らと目が合い、こちらの様子を伺っている様子。彼らの邪魔をしてしまわないようにソロソロとその場を去ります。

山中で野生の鹿の群れに遭遇!

雪が深まってきたころ、他のクルマがまだ足を踏み入れていない積雪路にやってきました。平坦路ではそれなりに走れることが確認できたところで、今度は雪の降り積もった上り勾配路を走行してみることに。すると深い雪だまりでタイヤが空転して前後に進みにくい状況になってしまいました。

やはり雪深い場所を走ると地上高が広く確保されたSUVや優れた機動性をもつ4WDモデルが優位性を発揮します。でも、FIAT 500のような前輪駆動車で発進が難しいときはASRをあえてOFFにするという手があります。ASRは通常はONになっていて、片側の駆動輪が空転した時にもう一方のタイヤの駆動力を引き出そうとするものですが、OFFでは空転して路面を掻こうとするので、よく滑りやすいスポットからの脱出ではあえてこの力を利用します。

ASRのスイッチはセンターパネルの下のほうに位置します。普段はあまり利用しませんが、雪道でスタックから脱出する時などに役立ちます。

操作は簡単。インパネに付いているASRスイッチをOFFにするだけ。するとメーター内のディスプレイに「ASR disconnect」と表示されます。タイヤで雪や水分を掻き出すことでグリップ力が回復すれば脱出できる可能性があります。ただし路面を捉える感覚を探るように、アクセル操作は繊細に行う必要があります。タイヤのグリップ感に神経を集中して何度かトライしてみたところ、自力で無事に脱出することができました。

雪深い勾配路で停止すると発進が難しくなるため、なるべく途中で止まらない運転を心掛けることも必要です。

冬道も安心して走れるのは、縁の下の力持ちとして働くこれら電子デバイスの助けがあってこそ。普段は軽快で気持ちよく走れるパフォーマンスを発揮しながら、いざという時に運転をアシストしてくれる数々の安全機能に、コンパクトカーの粋を超えた大きな安心を感じました。

雪道を走ったことで、実力派コンパクトのキャラクターが際立って見えたFIAT 500。ただカワイイだけじゃない、イタリアの風土が生んだ底力を垣間見た気がしました。

FIAT 500

  藤島知子
写真  荒川正幸