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マンマ直伝! クリスマスのためのイタリア家庭料理


クリスマスのための特別な料理「Speciale Natale」を教わるため、Bell’Italia(ベリタリア)で開かれているダニエラ・オージックさんの料理教室に行ってきました。


南イタリア・ポテンツァ出身のダニエラさんは、バーリ大学経済学部を卒業後、ナポリ大学で法律を学び、1974年に来日。神戸大学大学院で経済を学んだという経歴の持ち主ですが、現在はイタリアの食文化普及に力を注ぎ、書籍やテレビなど各メディアで南イタリアの家庭料理を紹介しています。日本語とイタリア語を織り交ぜながら、楽しいおしゃべりと笑顔いっぱいに繰り広げられる料理教室は、温かい愛情と豊かな知恵に満ちています。

ダニエラさんに教わる! クリスマスレシピ

この日教わったのは、ブロッコリーとからすみのブーケ、クリスマスのサラダ、クリスマスのカンネッローニ、鴨肉の柑橘ソース、そして3色のドルチェ。ひとつひとつを順番に作っていくのではなく、ブロッコリーの下茹でをしたお湯で、カンネッローニのほうれん草も茹でたり、サラダ用のビーツを茹でる横で鴨肉用ソースのオレンジをむいたり。それはまさにマンマの手ほどきを間近で受けているかのよう。手間と愛情をかけながら、見事な段取りでクリスマスのごちそうが作り上げられていきます。


アンティパストは「ブロッコリーとからすみのブーケ」。6等分した冷凍パイシートをブーケのように筒状に巻き、その中にオーブンシートをさらに巻いて、タルトストーンで重しをし、カップケーキの型に置いてオーブンで焼きます。焼き上がったら、塩茹でして玉ねぎと一緒に炒めたブロッコリーを入れ、Bottarga(からすみ)のパウダーでゴールドの仕上がりに。「1時間かけて作ったアンティパストを、たったの30秒で食べちゃうのよ」と茶目っ気たっぷりに語るダニエラさん。でも、手間をかけただけあって、とても幸せな30秒が訪れます。


Insalata di Natale、クリスマスのサラダ。色の美しいビーツと、ほっこりした食感のじゃがいも、あざやかな緑のさやえんどうを使った、目にも楽しいサラダです。ビーツは皮付きのまま丸ごと時間をかけてじっくり茹でます。「切るときに全部赤くなっちゃうから、ラップをまな板に巻くんです」とちょっとしたコツを紹介しつつ、マヨネーズと粒マスタードで野菜を和えていきます。「色がすばらしいでしょ。ほら、なんてキレイ!」と仕上げたInsalata。本当に見事な色合いです。

「イタリアのクリスマスは、イヴのミサが夜遅くまであるので、25日は昼過ぎぐらいからパーティが始まります。もちろん深夜になっても続きますよ。手間をかけて作った料理を、ファミリーでゆっくり楽しむのです」

「クリスマスのカンネッローニ」。カンネッローニとは詰め物をしたパスタのこと。クリスマスの定番料理のひとつです。「パーティをやると、みんな野菜を食べないじゃない?そんなこと、私のキッチンではありえないです!」との言葉通り、このカンネッローニにもほうれん草がたっぷり。「何でも自分で作る」というダニエラさんですから、カンネッローニに使う幅広のパスタももちろん手作り。教室の前夜に自宅で作っておいたそうです。生のパスタはおいしいですが、そこから手作りするのは日本人にとって難易度が高いかも。そんなときは、イタリア産のラザニア用パスタを活用するといいそうです。

*クリスマスのカンネッローニ
※以下のレシピはパーティにも対応できる12人分。必要に応じて加減してください。

〔詰め物〕
1)ほうれん草(600g)をよく洗い、根っこの部分を切り落として、塩少々を加えた少量の湯で鮮やかな色になるまでさっと茹でる(茹でた後は水にさらさない)。ザルで水気を切ってから(ぎゅっと絞らないこと)みじん切りにする。
2)モッツァレラチーズ(2個)の水気を切り、小さなサイコロに切る。パルミジャーノ(100g)を削る(パウダーを使ってもOK)。
3)フライパンに、みじん切りにした玉ねぎ(1/2個)とオリーブオイル(大さじ4)、塩ひとつまみを入れて焦がさないように炒め、1)のほうれん草も加えて水気を飛ばす。塩コショウで味をととのえ、バットに広げて冷ましておく。
4)リコッタチーズ(500g)をバットに加え、2)のモッツァレラとパルミジャーノ、ナツメグ(適量)も加えてよく混ぜ、12等分しておく。

〔トマトソース〕
1)にんにく(2片)をつぶし、オリーブオイル(大さじ6)と一緒に焦げないように炒める。香りが出たら、にんにくは取り出しておく。※塩味を付ければ、にんにくも食べられます!
2)鍋にトマトの果肉(今回は、紙パック入りの「ソル・レオーネ」ダイストマトを2パック使用)、塩(適量)、バジル(1パック)、水(1カップ)を入れ、数分だけ沸かしたら、火を止める。

〔カンネッローニ〕
1)長方形のパスタ(ラザニア用パスタで代用可)を茹でて、布巾などでしっかり水気を取る。
2)オーブン皿にバターをたっぷり塗っておく。12等分しておいた詰め物をパスタの中央に乗せて両側から巻き、オーブン皿に並べる。
3)トマトソースとたっぷりのパルミジャーノパウダー(今回は100g使用)かけ、200度に予熱したオーブンで約30分焼く。


今回のメインディッシュは鴨肉の柑橘ソース。チキンやターキーももちろんクリスマス料理の定番ですが、毎年必ずクリスマス料理を手作りするダニエラさんは「いつもチキンだと、飽きるでしょ。今年は鴨よ!」とにっこり。鴨肉はフランス産の冷凍胸肉を使用します。「オスはジビエのような野生っぽい味がします。私はメスのほうが好き」とダニエラさん。

フライパンで両面をしっかり焼いた後、さらにオーブンで焼きますが、「真ん中がまだ生で赤い色が残っているくらいの焼き加減がベスト」。途中で竹ぐしやフォークをさして様子を見ながら、火を入れていきます。バターとエシャロット、スパークリングワインにマルサラ酒、そしてレモンとオレンジの皮(もちろん果汁も!)をたっぷり使ったソースがさわやかで、食欲をそそります。


デザートは3色のドルチェ。「クリスマスケーキって、イタリアにはないんですよね?」と質問してみたところ、「ないないない!」と首を振り、「お料理をいろいろ食べるからケーキなんて入らないでしょう?」とビッグスマイル。今回のドルチェのように、フルーツを使った軽めのデザートを作ることが多いそうです。

3層の一番下、オレンジ色の部分はなんと柿。種なし柿の皮とヘタを取り、コニャック大さじ2と一緒にミキサーにかけて冷蔵庫で冷やしておいたものです。その上の白は、粉砂糖を加えた生クリーム。完全に泡立てず、やや液状のクリームに仕上げるのがポイントです。めいめいのグラスに柿を入れ、クリームを優しく重ねたら、小さくカットしたキウイをトッピング。それだけで3色ドルチェの完成なのですが、さらにかわいらしく仕上げるためにバラ色のクリームを加えました。これは、先ほどクリーム状に泡立てた生クリームにグレナデンシロップを数滴垂らしたもの。今度はしっかりホイップして、スプーンでちょこんと乗せていけば、思わず「わー!」と歓声があがるドルチェのできあがり。簡単なのにおいしいし、見た目も素敵。ケーキほどこってりしていないので、確かにこのくらいがちょうどいいかも。

「人間の生活で最も重要なのは食事です。毎日食べるものによって、若々しさや美しさが保てるのです。イタリアの豊かな食文化を、みなさんの食卓にもぜひ取り入れてくださいね」と語ってくれたダニエラさん。イタリアのおいしい食事と、食卓を囲む時間を大切にする姿勢は、私たち日本人にとって非常に共感できる文化のひとつです。クリスマスの夜に合わせて、マンマ直伝の「Speciale Natale」をぜひ手作りしてみませんか?

Bell’Italia(ベリタリア イタリア語・文化教室)のイタリア料理教室

取材・文 山根かおり

企画も手がける編集ライター。利き酒師。クッキングインストラクター。おいしいもの、こだわりの人、すてきな場所、丁寧な手仕事を目にすると、「もっと多くの人に伝えたい」と思わずにはいられない。旅と食が好き。旅先で地元の人が利用する市場やスーパーで調味料や食材を買い込み、帰国してからその味を再現するのが目下の楽しみ。Culture Magazineでは、カメラマンの夫と共にFIAT的な世界観のモノやコトを探して伝えている。

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