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行きたい! イタリアン_002『トラットリア・ダル・ビルバンテ・ジョコンド』(東京・白金台)

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文=井川直子(ベスト・イタリアン選考委員) 写真=太田隆生

胸躍る「TRATTORIA」の縦看板

 目黒駅から首都高速を越えると、広大な自然教育園の森に庭園美術館。都市にありながらゆったりとした街並が広がります。
 この街の大きな道路沿いにキャラメル色のヴィンテージビル、そして黄色い「TRATTORIA」の縦看板。イタリア好きならこの看板を見ただけで、もはやいい予感しかしないはず。
 2012年11月にオープンした『ダル・ビルバンテ・ジョコンド』は、まるでローマの下町にあるようなトラットリア。公園の緑を眺めるテラス席は、ちょうどこの時季が最高の気持ちよさ。中に入ればレンガのアーチ、正方形のフロアいっぱいに並んだテーブル、壁一面を覆い尽くすような額入り写真の飾り方。厨房から流れるいい匂いと、カメリエーレたちの元気な声にもテンションは高まります。

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右:目黒駅から白金のほうへ歩くと、次第に緑が多くなっていく。そんなゆったりした空気感のエリアに佇むトラットリア。店のロゴマークの中心にはローマのシンボル、建国の立役者ロムルスとレムスの双子の兄弟に乳を与えるカピトリーノの牝狼が! 左:イエローの壁とグリーンに囲まれたテラスは8席。オープンエアの心地よさから、夏のディナーの特等席。

ローマの下町にある賑やかなトラットリアそのもの

 ここは、ローマを中心としたラツィオ州の郷土料理店。日本人にとってイタリア料理の定番中の定番、カルボナーラやアマトリチャーナの故郷です。
 けれどよりマイナーな地方料理に細分化した東京で、今、逆に王道のローマ料理を専門に掲げる店はちょっと珍しいかもしれません。
 ローマ料理は、店長の古川裕士さん曰く「シンプルでストレート、パンチがあってアグレッシブ」。いい素材をシンプルに打ち出し、難しいこと抜きに「うまい!」と叫んでしまうような直球の魅力です。

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上:壁を彩る数々の絵や写真もまた店の空気感に欠かせない。写真のほとんどは、店長の古川さんが撮影したローマの日常風景。下:ほぼ正方形の空間に、圧巻の50席。カメリエーレの注文を告げる声やテーブルごとのお喋りが高い天井に響き渡り、ざわめきが心地いい。

“今”の時代のローマ料理を

 もともとローマは塩で繁栄した都市ゆえに、昔は塩を強めに利かせる傾向にあったそう。けれど現代、イタリア人の健康志向も高まって、ローマ料理はより軽やかになってきたといいます。
「僕らが食べてほしいのは、そういう“今”のローマ料理です」
 シェフ、内藤自然よりしかさんの修業先は北イタリアだったけれど、ローマにも何度も訪れて食べ歩き、すっかりその味を好きになったそう。
「カーチョ・エ・ペペに使われるペコリーノチーズは、伝統的にはローマ産と決まっていました。でも塩分が強く、現代ではローマのトラットリアでもマイルドなサルデーニャ産を合わせるようになっています」

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上:36歳の内藤自然シェフは既に落ち着いたベテランの風格。ブレない力強い味に外国人も含めてファンが多い。下:〈スパゲットーニ・カルボナーラ〉¥1,800。濃厚な田中農場の卵を、風味を飛ばさないよう仕上げは湯せんでとろとろに。カリッと焦がしたグァンチャーレの旨味と塩分、黒胡椒の辛味、ペコリーノのコクが完璧なバランス。

 そんなふうに現地で自分が体験し、おいしいと感じたローマ料理。それでも内藤シェフの手にかかれば、例えばカルボナーラは卵の風味をしっかり味わえる火入れ具合だし、ヴァッチナーラはマジョラムの香りが後を引く計算。イタリア的な豪快さと日本人の繊細な仕事が咬み合った、いい意味で、ローマでもきっと食べられないローマ料理です。
 それぞれにいつも同じ料理を食べる常連も多いけれど、本日のお薦め料理のファンもまた多いとか。こちらはローマやラツィオの枠から離れ、これからの季節は鮎など、日本の旬の食材をフィーチャー。根っこはあくまでもローマに置きながら、特にローマ好きではない人も、ローマに行ったことのない人も必ずやハッピーになれる一軒。

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上:〈トンナレッリ“カーチョ・エ・ペペ”ペコリーノ・ロマーノと黒こしょう〉¥1,600。噛むほどに粉の味わいが増す自家製トンナレッリに、ペコリーノをたっぷりと。カメリエーレが目の前で混ぜ、絶妙のクリーミーさに仕立てる。下:〈牛テール煮込み“ヴァッチナーラ”下町肉屋風〉¥3,300。牛テールを、香味野菜とたっぷりの赤ワイン、少しのトマトソースとカカオで煮込んだ豪快な料理。「黒い」煮込みはおいしいに決まっている。

シェフのプロフィール

Yorishika Naito
1981年、新潟・上越市生まれ。料理人を志し22歳で渡伊。ロンバルディア州の工業都市ブレシアにある、結婚式場を備えたレストラン『コルテ・フランチェスコ』で修業。伝統的な郷土料理とクリエイティブな料理の両方を2年間学ぶ。帰国後、都内で人気を博したレストラン『アンティーカ・ヴィネリア・ジュリアーノ』『ベヴェリーノ』等を経て、2015年1月に『トラットリア・ダル・ビルバンテ・ジョコンド』の2代目シェフに就任。

SHOP DATA

店名 トラットリア・ダル・ビルバンテ・ジョコンド TRATTORIA DAL BIRBANTE GIOCONDO
住所 東京都港区白金台3-18-1
営業時間 12:00~14:00LO、18:00~22:00LO
(月曜のランチ営業はなし)
電話番号 03-6721-9500
定休日 日曜
カード 可(VISA, MasterCard, JCB, Amex, Diners)
座席数 50席
喫煙可否 禁煙
アクセス JR目黒駅から徒歩6分、南北線・三田線白金台駅から徒歩6分
Webサイト http://www.dal-birbante.jp/
主な料理(地域) ラッツィオ州(ローマ下町料理)
スペシャリテ トンナレッリ カーチョ エ ペペ 、リガトーニ カルボナーラ、牛テールの煮込み 下町肉屋風、ふくどめ小牧場 チンタセネーゼ豚 骨付きロース
予算 ランチ¥1,700〜、ディナー¥8,000〜。ワインカラフェ(250㎖)¥1,100、ボトルワイン¥2,900〜
*税込/チャージ¥500(ディナーのみ)