ゆっくり生きよう・にっこり走ろう

人にも環境にも自分にも優しくいきる。それがフィアットカルチャーです。

豊かな自然の恵みを生かした雄勝硯と食の街、石巻の“進化”に出合う旅

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文=友永文博 写真=太田隆生

震災からの復興を目指す宮城の伝統工芸

 フィアットは、日本の「ものづくり」の文化継承を目的にするNPO法人、メイド・イン・ジャパン・プロジェクトとコラボレート。日本の優れた伝統工芸品に、新たな光を当てる活動を継続して行っています。今回、選ばれた工芸品は宮城県の雄勝硯です。蓋の表面にFIATのロゴを刻んだオリジナルの硯を作っていただくことになりました。
 雄勝硯は伊達政宗公にも献上され、かつて硯で全国シェアの90%を占めた、宮城県が誇る伝統工芸品。しかし東日本大震災で採石した雄勝玄昌石や製品、工房までもが流され、壊滅的な被害を受けたのです。現在、雄勝硯再興の指揮をとる雄勝硯生産販売協同組合事務局長の千葉隆志さんに話を伺います。

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上:雄勝石でできたテーブルウェア類。商品にはすべて1年間の保証が付く。欠けたり割れたりした場合は、程度に応じて無償・有償で修復・リメイクを行うという画期的な試み。
下:「自然な割肌はひとつとして同じものがなく、置く向きによっても表情が異なります。スーパーで購入した刺身や惣菜も、器を変えるとまったく別物に。だからこそ、ぜひ気軽に使ってほしいですね」と事務局長の千葉さん。

硯から器へ、主力製品をシフト

 「震災で多くを失って以来、雄勝硯の復活のため、技術を持つ職人が足りない硯に代わって力を入れてきたのがテーブルウェア。天然石の皿は他にはないもの。雄勝石は薄く割れる特性があり、その美しい割肌を生かした皿を主に作っています。黒い、シンプルな色と形状なので料理が映え、おいしく見えます。また保温・保冷性に優れ、冷やしたり温めたりして料理にとって最適な温度を、より長く保持できるのです」

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上:硯の手彫りは、カクミノをメインに石の大きさ、彫る線によって刃先の異なる数本を使い分ける。
下:皿の表面は割肌を生かす一方で、裏面は丁寧に磨き上げ、その後、食品衛生法に準じた薬剤で全体をコーティング。

新製品を共同開発。チャレンジは終わらない

 最近では技術にさらに磨きをかけ、昨年、宮城県で開かれたG7関連の会議へ出展するため、盃やお猪口など複雑な形状の製作にも成功。さらには仙台ガラスとタイアップし、ガラスに雄勝石の粉末を混ぜた斬新なテクスチャーの新製品の開発にも着手する予定。「今まで見たこともない黒い半透明なガラス製品です」と千葉さん。今秋の商品化が今から楽しみ。苦境にあってもクリエイティブに挑戦を続けるその姿からは、600年の伝統を絶やさないとする固い決意が感じられました。

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加わる熱で石が割れないよう、細心の注意を払い24時間かけてゆっくりと彫り進める珠玉の逸品。取り扱いは、おがつ店こ屋街(たなこやがい)の仮設店舗と仙台の工芸品店『彩りそえる しまぬき』の本店(☎022-223-2370)、エスパル店(☎022-267-4021)のみ。「雄勝の濡れ盃」右:¥100,000、左:¥40,000。

SHOP DATA

店名 雄勝硯生産販売協同組合(仮設店舗)
住所 宮城県石巻市雄勝町上雄勝2丁目25
電話番号 0225-57-2632
営業時間 9:00〜16:30
定休日 火曜日
Webサイト http://ogatsu-suzuri.jp/

 雄勝石を産する石巻は、同時に多彩な食材の宝庫でもあります。石巻を訪れた際にぜひ立ち寄っていただきたいのが、そんな地元の恵みを生かしたメニューを堪能できるイタリア料理店2軒。ともにシェフのこだわりが素晴らしい人気店です。

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上:富貴丁通りに移転後すぐの『ダ・オリーノ』。店内は調度品もまだ揃っていなかった。場所は、30年続いた地元の有名フランス料理店『おおたや』の店舗跡。
下:東松島にある高砂長寿味噌の味噌でマリネした〈鹿のロースト〉¥1,800(税込)。肉質は柔らかく臭みもない。牡鹿半島に鹿肉の処理場が新しく完成したこともあり、鹿肉を店のスペシャリテに。プレートは雄勝石。チャージとして〈石巻野菜のバーニャフレッダ&天然酵母パン〉(¥600)が付く。

“ヨソモノ”だからこそできる“地産伝生”レストラン

 まず初めに紹介するのが『ダ・オリーノ』。7月初めに橋通りCOMMONの臨時店舗から移転オープンしたばかり。オーナーの堀野真一さんは大手外食チェーンの仙台店で店長だった際に震災に遭遇。石巻店の店長も2度経験していたため、音信不通となった石巻店のスタッフの安否確認に奔走。惨状を目の当たりにして、自分を温かく迎えてくれたこの地に戻り、働くことを決意したそう。
 一方、シェフは、東京のイタリアンの名店で腕を磨いた経験豊富な松本圭介さん。震災後に石巻にオープンした地産地消レストランに招かれシェフを務めていて、堀野さんと知り合い、意気投合しました。松本さん曰く「石巻は食材が豊富で高品質。ただ、地元の方にしてみればそれが当然なので、改めて魅力を実感するのが難しい。でもそこに料理人の技を加えると『おいしい!』と言ってもらえます。そんな瞬間が最高に嬉しいですね」。また堀野さんについては「今まで一緒に働いた有名店のどのサービスマンより尊敬してます。生来のフレンドリーなキャラと熱いハートに、今後、料理の知識が増えれば鬼に金棒です(笑)」。
 目指すのは地産地消をさらに発展させた“地産伝生”。貴重な食材を有効に使い、ビジネスとしても成立させ、大切な食文化を次の世代に伝えていくこと。東北出身でもない2人が石巻に魅せられ、地元の食の未来を思い、奮闘を続けます。

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粒の大きさと濃厚な旨味に驚く〈ムール貝とカキのワイン蒸し〉ラージ(1kg)各¥1,800(税込)。ハーフもあり。旬の貝をメインにしながら、赤皿貝、ツブ貝、アワビなど、入手次第にスポット的に投入予定。貝に合わせてフレーバーも少しずる変えるという。「石巻の旬で回していければ」。

この夏は「Reborn-Art Festival」にも参加

 この『ダ・オリーノ』は、7月22日(土)~9月10日(日)に石巻で開催される「Reborn-Art Festival 2017」に参加予定。これはアート×音楽×食で彩る新しいお祭りです。期間中は、会場内のレストランで堀野さんの絶妙なサービスも体感できるはず。大物アーティストも続々参加する画期的な催しなので、詳細をHPでぜひ確認してみてください。

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「食材のほとんどを顔の見える生産者から直接調達しています。そんな食材生産者と近い関係を生かし、僕たちだからこそできる料理を出していきたい」と松本さん(右)。サービス担当の堀野さんが各生産者に代わり、彼らの思いまで伝えて料理を出してくれるそう。堀野さんは震災の2日後、石巻のあるスタッフの病気の母親に薬を届けるため、仙台から山道を迂回して約4時間かけ石巻に入ったという熱血漢。

SHOP DATA

店名 ダ・オリーノ DA HORI-NO
住所 石巻市立町2-7-28 2F
電話番号 0225-24-6541
営業時間 18:00〜21:30 LO(ディナー)/22:30〜1:30 LO(バータイム)
定休日 月曜日
Webサイト https://www.facebook.com/ DA-Hori-no-ダオリーノ-463269913846251/

 そしてもう一軒のおすすめが、地元の料理人代表として、「Reborn-Art Festival」を支える渡邊篤史さんがオーナーシェフを務める『ISOLA』です。渡邊さんは、フェスティバルの食部門のディレクター・目黒浩敬さんが石巻の飲食店を覆面で食べ歩いた結果、重要な役を任されたという実力派。食材の旨味を最大限に引き出すイタリアンのスタイルをベースに、フレンチの素養と独自の感性を加えた、多彩なレパートリーが評判です。フェスティバル中は残念ながら、その運営に専念するため、自身のお店はクローズするそう(会場では渡邊さんの料理も味わえます)。9月末以降、お店が再開した際にはぜひ立ち寄ってみてください。

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右上:16歳で料理界に飛び込み、すでにキャリア20年以上というベテラン料理人の渡邊さん。
右下:グラスワイン¥600〜、ボトルワイン¥3,600〜。抜栓料¥2,000でワインの持ち込みも可。宮城県川崎町で目黒浩敬さんが手がける「ファットーリア・アルフィオーレ」の2016年ワイン、赤白2種。
左上:店にメニューはない。前菜2皿、焼き温野菜(人気のスペシャリテ)、東松島の小麦を使った手打ちパスタ料理、魚料理、締めを兼ねて肉料理とリゾットを合わせた皿、そしてデザートというコースメニュー(¥5,000)が基本。あとはゲストの要望に合わせ、自由に対応してもらえる。写真は、10種以上の野菜で構成された〈焼き野菜と甘鯛のソテー〉。
左下:店はカウンター6席。「その日の席はひとりのゲストの方のため、と思っています」。料理・サービスをひとりで担当

SHOP DATA

店名 ISOLA
住所 石巻市蛇田字閘門16-4 タマホテル1F
電話番号 080-5746-8246
営業時間 12:00~14:00、18:00~23:00 *ランチは前日までに要予約
定休日 不定休
備考 「Reborn-Art Festival 2017」期間中は閉店。9月末以降、再開予定

 東日本大震災からすでに6年。「“復興”はもう終わっているのかもしれません」と『ISOLA』の渡邊さんは語ってくれました。ゼロベースに戻す復興から、新しい未来を切り開く創造へ。それを実現する素晴らしいポテンシャリティが石巻にはあふれていました。

『FIAT仙台』
 仙台東部道路「仙台東IC」から3kmほどの国道4号バイパス側道沿いに店舗を構えるフィアット仙台。ガラス張りの明るいショールームには「500」など3台がゆったりと置かれていて、まるでカフェのような雰囲気。人懐っこい笑顔で迎えてくれたのは、営業部副主任の柳沼祐毅さん。久々の再会となるFCAジャパンのマーケティング本部長ティツィアナ・アランプレセに近況を報告してくれました。
 「当店はフィアット、アバルト、アルファ ロメオ3ブランドの取り扱いを東北で最初に始めたのですが、フィアットは女性比率が高いですね。30〜40代を中心に幅広い層の方々にご好評いただいております。500はコンパクトで扱いやすいうえにデザインがいいということで、奥さま方にも大変人気です。今夏以降は、姉妹店のフィアット仙台泉がアルファ ロメオ、当店はフィアット/アバルト専売となりますので、よりいっそう、東北の方々に両ブランドの魅力を発信していきたいと思います」

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