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正しいドライビングポジションでSUVをスマートに乗ろう

セダンやハッチバックなど一般的な乗用車からSUVに乗り換えた時に、多くの人が感じるのが、外の景色の見え方の違い。今回は、その違いに戸惑うことがないように、背の高いクルマをスマートに操るドライビングポジションに注目したいと思います。

死角を少なく、心がける

最近人気のクロスオーバーSUV。一般的な乗用車に比べ、車高が高いスタイリングは、アクティブなイメージが強く、実用性にも優れることからさまざまなユーザーから支持を集めているようです。FIATからも2015年10月24日に、初のイタリアンSUVとなる「500(チンクエチェント)X」が登場しました。そこで今回はSUVが初めてという人や、運転に不安を感じている人に、背の高いクルマを運転する際のドライビングポジションを提案したいと思います。

まず、安全運転という観点からSUVを運転する際に意識したいポイントは、いかに死角を減らすかです。SUV特有の高い車高は、走行中に遠くまで見渡せる一方、車庫入れや取り回しの際には車両周辺の状況が掴みづらいことがあります。特に低い位置の障害物や小さな子供の存在には気を配る必要があります。

車高が高いSUVでは、車両周辺の低いところが死角に入りやすいので注意が必要。

そこで重要になってくるのが、シートの調整です。ドライビングポジションの基本については、以前の記事「正しいドライビングポジションの取り方 知っていますか?」で紹介していますので、そちらもご参照ください。今回は、背の高いSUVの運転に有効なドライビングポジションについて掘り下げていきます。

長身の人から小柄な人まで、さまざまな体格の人が座ることを想定して設計されているクルマのシート。安全にドライブする上では、周囲が見渡しやすく、正しい運転操作が行える位置に調整することが大切です。

今回の試乗車は、「500X Cross Plus」。運転席の座面高は地上から697mmに設定されています。これはクロスオーバーSUVとしては平均的ですが、乗用車に比べるとやや高めの設定となります。SUVのドライビングポジション調整で注目したいのは、座面の高さを調整するシートリフターです。これは運転者が自分の体型にあったポジションを、外の見え方やハンドルとの位置関係に応じて調整するもの。「500X」では全車に標準装備されています。

シートリフターの操作スイッチはシート側面に位置する。「Cross Plus」と「Pop Star Plus」では電動式、「Pop Star」では手動式となる。

実際にシートを上げた状態と下げた状態を比べてみました。シートリフターの調整により、ドライバーの目線の高さはこんなにも違ってきます。頭と天井の間にゲンコツが1つ残る程度までシートを上げてみたところ、前方や斜め方向の死角が大幅に減りました。

シートの高さにより、ドライバーの目線の高さは大きく変わる。小柄な人はシートを高めに設定したい。

下の写真はアイポイントの高さの違いによる見え方の違いを比べたもの。着座位置を上げると、直前までよく見えることがわかります。これを日常シーンに置き換えると、クルマの周辺にある障害物や子供の存在が確認しやすくなり、安全面で大きな効果が得られるのはいうまでもありません。

写真左は着座位置が低い状態。アイポイントが低くなり、ボンネットの先にある青い風船はかすかに見えるだけ。右は着座位置を上げた状態。風船がより低い位置まで確認できる。

また、不整地を走行する場合は、予期せぬ進路の乱れや車体の揺れが起こりうるので、身体を安定させ、適切な操作を行う必要があります。それには基本に忠実に腰を深く掛け、シートのホールド性が十分に発揮されるように座るのが有効です。また、機会は少ないと思いますが、岩がごろごろ転がる河川敷などを走行する際は、タイヤが凹凸を踏み越える際の反力でハンドルが勢いよく左右に振られる場合があります。そのような時はハンドルを握る手の力をゆるめ、衝撃を逃がすように心掛けるとよいでしょう。

このほかドライビングポジションに関して、SUVと乗用車で違いがあるのがドアミラーです。大概のSUVは視界を確保するために大きめのものが付いています。これは足元まで視界を確保できるようにするためですので、車両周辺の安全確認を行いやすいように適切な位置に調整しましょう。

「500X」に採用されているドアミラー。「500」などに比べて上下方向に広いものが採用されている。また、助手席側のドアミラー下には、ボディ側面の死角を補うアンダーミラーも装備されている。

運転補助装置を活用しよう

さて、次は後方視界についてです。後方視界は後ろを振り向いて目視で確認するのが基本ですが、それでも見えないところについては、そのクルマに備わっている運転補助装備に頼るほかありません。機能を理解して、正しい使い方を心がけましょう。「500X Cross Plus」を例に紹介します。

「500X」には後退する際にアラームで障害物の存在を知らせる「アラーム式リアパーキングセンサー」が全車に標準装備されています。障害物に近づくとアラームが鳴り、危険が迫っていることを知らせてくれます。

「アラーム式リアパーキングセンサー」は、バンパーに内蔵されたセンサーが障害物を検知し、アラームで知らせてくれる。

また、「Cross Plus」と「Pop Star Plus」には後方視界を補う「リアパーキングカメラ」と後退時に側方から車両が接近すると警告を発する「リアクロスパスディテクション」が標準装備されています。リアパーキングカメラは車内のモニターで障害物の存在や車両との距離感を視覚的に捉えることができます。車庫入れの際に重宝します。

後退するときに車両後方の映像を映し出すリアパーキングカメラ。

もうひとつ走行時に安心の機能が「ブラインドスポットモニター」(「Cross Plus」と「Pop Star Plus」に標準装備)。こちらは車線変更時に斜め後方の死角にクルマがいるとドアミラーに内蔵された警告灯が点灯し、ドライバーに危険を知らせてくれる機能。ウインカーを点滅させたときに作動します。とても有効な装備ですが、車線変更の際は約3秒前にウインカーを作動し、目視で安全確認を行うのが基本ということをお忘れなく。

車線変更の際に斜め後方の車両の存在を警告灯で知らせてくれるブラインドスポットモニター。

背の高いSUVも、視界が確保できていることを実感すれば、自信を持って運転できるはず。周囲に危険が潜んでいるかもしれない、という安全意識を持ちつつ、せっかくのSUVならではの機動性や利便性を存分に楽しんでください!

FIAT 500X

撮影 荒川正幸
文 藤島知子