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【FIAT×MIJPコラボ】それぞれのキーパーソンが日本のモノづくりについて語らう

FIATとNPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクトのコラボレーションを率いるキーパーソンが、今年1年の活動を振り返りながら、日本のモノづくりについて語らいます。

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メイド・イン・ジャパン・プロジェクト副代表理事 長江一彌 ×
FCAジャパンマーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセ

■ “モノづくり”の現場が得たものと失ったもの

今回、お話をうかがう長江一彌さんは、愛知県瀬戸市で100年以上の歴史を持つ陶磁器製造販売会社、株式会社NAGAEのプロデューサーであり、NPO法人メイド・イン・ジャパン・プロジェクト(MIJP)の副代表理事を務めています。NAGAEでは、既成概念にとらわれないモノづくりや厳選した商品の販売を行っています。ラインアップはホームページでも見られますが、“こういうモノがほしい” “こんなカタチがかっこいい” を自ら体現しています。自らのビジネスで掴んだその確かな感触を、出し惜しみすることなく他の産地にも広めようとMIJPの業務に落とし込み、全国規模で生産者・デザイナー・ショップ・消費者をつなぐ活動を行っています。いいモノやアイデアはみんなで “シェア” しようという志がうかがえます。

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長江一彌氏。100年の歴史を持つ陶磁器製造販売会社である株式会社NAGAEは、自社製品の制作のほか、他ブランドのプロデュースも行う。長い伝統を持ちながらも古い枠組みにとられることなく、食を中心に新スタイルを発信している。

かたやFIATはイタリアの自動車メーカーですが、なぜFIATが日本の伝統工芸の継承・発展を目指すMIJPをサポートするの? と思う人もいるはず。その問いに対するFCAジャパン株式会社マーケティング本部長ティツィアナ・アランプレセさんの答えは、活動拠点である日本において「クルマの販売を超えた、心のつながりを大事にしたいから」。自動車メーカー/インポーターは、クルマを売るのが仕事ですが、その活動だけでは売り手と買い手の関係を超えられません。そうではなく、せっかく日本とイタリアは、それぞれがいいモノやすばらしい文化を持ち合わせているのだから、それらをシェアし、心を通わせましょう、と文化と文化をつなぐ活動に精力的に取り組んでいます。クルマだけでなく、イタリアの “心” や “Love” を伝える、独自のMarketingならぬ “Loveting” なる手法で、これまでさまざまなプロジェクトを成功に導いてきました。

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伝統を大切にしながらつくられたモノのなかに
自分たちの心を入れる、心を通わせる
そうしてできる心と心のつながりには価値がある
ティツィアナ・アランプレセ

■ 文化をつなぐ、というビジョン

さて、そんな“シェア”を大切にする両者が手を組み、2015年には4つのコラボレーションが実現しました。「佐賀・伊万里焼のパスタ皿」「新潟・燕市のカトラリー」「岐阜・郡上八幡の踊り下駄」「石川・山中漆器の器」です。詳しくは特設ページで紹介されていますが、今回は今年1年の活動を振り返り、モノづくりや今後の展望について話してもらいました。まずは長江さんに、モノづくりの現場で感じた当初の課題と、MIJPの活動を通じて得た成果についてお聞きします。

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長江「日本は高度成長期に、モノをつくることに追われた時代があります。とにかくつくらないといけない、常に納期に追われる、という状況のなかで、モノづくりの技術は確かに上がっていったけれども、ひきかえに気持ちが失われる、ということが起こりました。モノをつくってもそれを使う人が見えない、だから楽しくない、担い手が育たない、若い人がやりたがらない、と、そんな問題が浮かび上がったのです。そこでMIJPの活動を通じて伝えたかったのは、モノづくりの持つ本来の意味を、つくる側にも使う側にも知ってもらいたい、ということです。つくる側というのは、使う人のことを考えてモノづくりをする、というのが本来の姿です。使う側は、つくった人の苦労やこだわりを感じ取って、ありがたみを感じたり、大事に扱ったりするとか、そういうのありますよね。ティツィアナさんには生産地までおもむいていただきましたが、モノづくりに携わる人にとっては、そうした交流を通じて言葉を交わしたり、新しい発見──たとえばイタリアでは楽しみながらモノづくりをしているとか──があったりすると、ハッと大事なものに気付く瞬間があるんですね。そうやって生産者と消費者がつながったとき、モノづくりに対する意識というのは変わるんです」

151225_Fiat_06ティツィアナ「わたしはモノづくりにおいて、できあがったモノを単に商材として捉えるのではなく、人と人をつなぐという側面を大事に思っています。わたしたちは、“Heart inside Engine, Beauty inside Metal” というコーポレートビジョンを掲げていますが、この言葉は、エンジンはクルマを動かすと同時に心を揺さぶるものであり、金属は車体としての機能だけでなく同時に美しさも秘めている、ということを示しています。モノには表面的な機能だけでなく、人に訴えかける別の“なにか”があるんですね。FIATのクルマでいえば、イタリアの文化、ファッション、ライフスタイルが含まれていて、それらが人に楽しさやワクワク感をもたらします。MIJPとのコラボレーションでも、モノが売れるとかよりも、パッションを大事にしています。伝統を大切にしながらつくられたモノのなかに、自分たちの心を入れる、エネルギーを注ぐ、心を通わせる。文化的、社会的に価値ある活動を通じて、そこに共感してくれる人とつながりたい、一緒に新しい歴史をつくりたい。そういう観点から、この活動によって生まれる心と心のつながりには価値があると考えています」

■ 夢はグローバル展開

日本の伝統工芸の発展に、それぞれ独自のアプローチで貢献したいと考えるお二人。次にコラボレーションの今後の展開についてお聞きしました。

ティツィアナ「商品化について具体的なプランはまだこれからという段階ですが、FIATブランドのマーチャンダイズ商品として展開したい、という思いがあります。なかには非常に高価なモノもありますので、そういったものは同じデザインでお手頃なラインアップを用意するなどして展開できたらいいですね。まずは国内で展開し、将来的にはヨーロッパなど海外でも紹介したいという夢があります。こんなにステキなモノならイタリアにも欲しがる人はたくさんいると思います!(笑)」

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長江「ひとくくりにモノづくりといっても色々ありますが、その多くを占めるのはお皿やグラスなどテーブルウェアだと思います。で、日本とイタリアは、食にこだわり、それを載せるモノにもこだわる、といったところが共通しています。食文化を味覚だけでなく、視覚や触覚も含め、五感で捉えるところが似ていると思います」

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イタリアと日本は食にこだわり、モノにもこだわる
食文化を五感で捉えるところが似ていると思います
長江一彌

ティツィアナ「わたしは大学時代から茶道や剣道、書道などさまざまな日本の伝統文化に親しんできましたが、シンプルな美しさを求める日本の美意識に魅力を感じています。わび、さびのコンセプトなどは大好きです」

長江「そうした美意識の表現というところでいえば、日本の生産者は自らのアイデンティティを持ち、それを発信できる人も増えてきています。いい方向に向かってはいますが、そうはいっても、まだモノづくりに自分の確固たるものを持って打ち出せている人は、ほんの一握りなので、それをできる人を育てていかなければいけません。それもMIJPの大事な使命ですので、これからもがんばっていきたいと思います」

それぞれ立場は違いながら、お互いのアイデアや経験を出し合い、“シェア”の精神で日本の伝統工芸品の継承・発展を目指すFIATとメイド・イン・ジャパン・プロジェクトのコラボレーション。2016年はどんな展開をみせてくれるのか楽しみです。

まとめ 曽宮岳大

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